再生医療とは

再生医療が生かされている分野

人が元々持っている細胞や組織を用いて、病気やけがなどによって失われた臓器や組織を再生し、正常な状態に回復させる医療です。有名な研究では、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞した、iPS細胞があげられます。どんな細胞にもなり得る万能細胞で、記憶に新しいところでは2019年8月、眼科疾患の患者で臨床研究の一例目が行われました。
また、整形外科領域の再生医療としては、外傷性の軟骨欠損や離断性骨軟骨炎に対し、自分の細胞から作った培養軟骨を欠損部分に移植する自家培養軟骨移植術が、すでに保険適用で行われています。変形性膝関節症は保険適用外ですが、この疾患に対しては自由診療で、血液や幹細胞を活用した再生医療が注目されていて、提供する医療機関も近年増加してきています。

当院が再生医療を扱う理由

欧米では2000年代から、スポーツ選手がけがに対しての血液を使った再生医療は広く行われていました。スポーツへの復帰が早い、手術を回避できるなどの理由から注目され、その後、変形性膝関節症でも再生医療の有効性が認められるようになり、本邦でも数年前からだんだん行われるようになっています。
これまでの整形外科医としての診療の中では、従来の保存療法でなかなか良くならないケース、またはせっかく手術をやっても痛みや人工関節の不具合が残ったケースをたくさん経験してきました。そのような患者さまに、体に負担の少ない効果の見込める治療法があればもっと違う人生を送れたのではないかと思う日々も多々ありました。だからこそ、自己治癒力を促すという既存の治療とは全くコンセプトの異なる再生医療に、私自信、非常に可能性を感じています。

ひざ再生医療に期待できること

再生医療法と保存治療法との比較

変形性膝関節症の治療で重要なのは、”いかに進行させないか”ということです。当グループで行っている再生医療は保存的治療に分類されますが、変形性膝関節症においてその位置付けは、従来の保存的治療と手術治療の間を埋めるようなものと言えるでしょう。

再生医療は、変形性膝関節症の進行を遅らせることを目的としています。従来の保存的治療では症状を一時的に抑えるだけで根本的な改善は見込めません。また、手術療法は症状の改善は見込めるものの、体の負担が大きいなどの問題がありました。ただこれまでは、それ以外の選択肢がないのが実情でした。再生医療は痛みの根本的な改善が見込める、第3の選択肢という位置づけになります。

提供されているひざ関節の再生医療

変形性膝関節症やひざの痛みに対して行われている再生医療にもいくつかの治療法があります。例えば、PRP療法です。ひざ関節ではありませんが、メジャーリーグの田中将大投手や大谷翔平投手が、肘の内側側副靱帯の損傷に対する治療として受けたことが大きく報じられたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。保険適用ではありませんが、臨床研究の枠組みで再生医療を行うための法律のもと、いくつかの治療法が提供されています。

PRP療法

PRP治療の流れ

PRPはPlatelet-Rich Plasmaの略で、日本語では多血小板血漿と言います。血液中の血小板という細胞を多く含む成分という意味です。血小板にはけがをしたときに止血したり、成長因子という物質を分泌して組織の修復を促す働きがあり、そこに着目した再生医療になります。
PRPは血液を遠心分離した時に得られる成分のうち、赤血球などを除いて、血小板を含む成分を高い濃度で抽出することで得られ、それを患部に注射で投与するという治療法です。つまり、採血と注入という注射だけの処置で完結します。

血液を用いた治療法の種類

靭帯や腱の損傷の程度によっては、手術なしで修復が期待できるとして、スポーツ外傷で広まりました。また、変形性膝関節症に対する治療としても有効性が示されており[1][2]、日本国内でも提供する医療機関が増加傾向にあります。
現在では一般的なPRP治療の他、「次世代PRP」とも呼ばれている、PRPを加工した成分を用いたAPS治療やPRP-FD注射も台頭。当グループでも開院当初はPRP治療を行っていましたが、現在はPRP-FD注射を採用しています。

 

幹細胞治療

幹細胞の種類

ヒトの体は、軟骨や骨や筋肉といった特定の細胞に分化(成長)した体細胞で作られていて、またそれらに分化できる能力を持つ幹細胞も骨髄や脂肪組織に存在しています。
再生医療の世界では、この体細胞を患部に移植したり、幹細胞から体細胞や組織をつくって移植するといった治療法が研究中です。整形外科も例外ではなく、現在すでに提供されている幹細胞治療としては、変形性膝関節症に対して脂肪組織由来の幹細胞を投与する治療が行われています。

幹細胞治療の効果

脂肪組織由来の幹細胞には、脂肪細胞の他、骨や軟骨、血管などの細胞に分化する多分化能があることから、理論上は直接的な組織の修復が期待されています。その効果についてはまだ研究途中ではありますが、投与した幹細胞が多くの成長因子を分泌すること[3]や、周囲の組織や細胞を活性化する作用などで、炎症や疼痛の軽減が望めます。そのため整形外科では、主に変形性膝関節症をはじめとする炎症を伴う痛みに治療が提供されています。

培養幹細胞治療の流れ

脂肪幹細胞治療には、採取した脂肪から幹細胞を含む細胞群を抽出して投与する方法と、幹細胞を取り出し培養してから投与する方法があります。PRP療法同様、当グループでは両方の方法を行ってきましたが、脂肪の採取量が少なく済み、より多くの幹細胞を投与できる培養法を現在は採用しています。

 

費用について

提供されているひざ関節の再生医療は自由診療のため、PRP療法や幹細胞治療と一言にいっても、扱っている治療法や投与量や付加価値(診断サービスやリハビリ指導の内容、ホスピタリティなど)によっても違ってきます。そのため、セカンドオピニオンを利用し、料金以外にも説明や治療提案も踏まえて一番納得できる医療機関で受けることをおすすめします。
費用の目安は下記を参考になさってください。

一般的なPRP療法 1回:5~15万円
次世代PRP(APS治療やPRP-FD治療) 1回:15~30万円
幹細胞治療 1回:100~200万円

当院でご提供する治療法の費用はこちらをご覧ください。

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